TECHNOLOGY
ボルカノの誇る技術力
ボルカノの誇る技術力についてご案内します。
ボルカノの誇る技術力
燃焼エンジニアリング・メーカのボルカノは、
アンモニアや水素といった新燃料に対応する船舶用燃焼機器の製品開発で先行する。
開発には陸上分野向けの燃焼技術も積極的に活用する。
既にアンモニア燃料船と水素燃料船のガス燃焼ユニット(GCU)を商品化済みで、
アンモニア燃料船向けは、このほど世界初の商用アンモニア燃料船向けに初納入した。
次世代船が扱う新燃料はそれぞれ異なる燃焼特性を持つため、燃焼技術は船舶のエネルギー転換でキーとなる。余剰ガスを処理するためのガス燃焼ユニット(GCU)やバーナの技術も、その代表例だ。ボルカノは高度な燃焼技術を生かしながら、これまでLNG燃料船向けGCUなどで実績を積んできた。現在、新燃料対応では主にアンモニア、水素、メタノールをターゲットに技術開発を進めている。
アンモニアについては「難燃性の燃料のため、技術的には圧倒的に難しい」と開発ハードルは高かったが、LNG燃料船向けGCUの技術をベースに、大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻燃焼工学領域赤松研究室との共同研究を経て、毒性などの課題にも対応し、2023年5月にアンモニア燃料船向けGCU「MECS-N25」の販売を開始した。実績もできており、世界初の商用アンモニア燃料船として2024年8月に竣工したアンモニア燃料タグボート“魁”(さきがけ)に初納入した。
また、現時点では、アンモニア燃料船向けボイラ用DFバーナの技術開発も完了させている。新燃料対応の技術開発を主に担う開発本部マリタイム開発部では、蒸気量1.5 t/hボイラ用DFバーナとして、油に対するアンモニア混焼率80%(発熱量ベース)を達成した。難燃性のアンモニアをボイラで燃やすことは、設計の自由度が比較的高いGCUよりもハードルは高いが、さらに混焼率の向上を図っていく方針だ。お客様の要望も踏まえたうえで、製品化を進める。
水素については燃えやすい性質を持つため、燃焼制御の技術課題はあるが、燃焼技術としては、アンモニアに比べ比較的難易度は高くない。ボルカノは陸上向けで実績を持つ水素燃焼技術を応用し、水素についてもGCUを用いて安全に燃焼処理する基礎技術の単独開発に成功し、2023年11月、水素燃料船向けGCU「MECS-H25」を発売した。
なおMECS-N25、MECS-H25、アンモニア燃料船向けボイラ用DFバーナはいずれも日本舶用工業会の新製品開発助成事業として日本財団の助成を得て開発した。
メタノール燃料船向けボイラ用DFバーナについては、従来燃料とほぼ同様の燃焼技術で対応でき、需要に応じて供給可能だ。
ボルカノの強みは、陸上向けの燃焼機器も自社内で手掛けることだ。燃焼機事業部では、陸上と舶用の両方を扱っており、産業機械用ではこれまでに、大型の水素専焼バーナをはじめ、多岐にわたる燃焼を可能にしてきた。同じ事業部の中にあるため、技術交流や活用を盛んに行いやすい。陸上と舶用ではスペースや設置条件が異なるものの、燃焼技術のコア部分は共通しており、これが新製品開発に寄与している。
新燃料については、実機搭載前にフルスケールの出荷燃焼試験を行うことが現実的には困難なため、実機搭載前にリスクをいかに低減するかが課題となる。シミュレーション(燃焼解析)やDX、AI技術などを活用することにより、搭載前にリスクを減らし、安心して本船の試運転を迎えられるよう模索している。
さらに、他社・他機関とのタイアップにも注力する。特に重視するのが、先行して次世代船に取り組む大手船主とのコミュニケーションだ。次世代船の技術開発では船主と密接に協力し、ニーズに応える必要がある。開発はプロジェクト単位で動くため、プロジェクトチームや関連組織に参画する。
大学とも積極的に連携している。ボルカノは2021年から大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻燃焼工学領域赤松研究室と共同研究を進めている。同じ関西地区であり、今後もさらに連携を取りながらアンモニア燃焼技術開発の高度化に取り組んでいく。
海事プレスの掲載記事をもとに再編集しています